昨日母にたぶんプリンを持ってくるねと言ったのだと思います。

昼休み母のところに行くと、母は、あれ?プリンはどうしたの?

 

プリン?今日は買って来なかったよ・・・ごめんごめん。

 

男の人って約束守らないんだよね・・そんなもんだよね。

 

忘れてしまって・・・ごめん、明日は午前に来れるから、モロゾフのプリンを買ってくるね。

 

 

無理しないでいいけどさ。口に出していうと、ダメだよ。今回は許すけど、簡単に約束するもんじゃないよ。

 

僕が驚いたのは認知症の母が、僕の昨日に言った事を覚えているという事なのです。

覚えているんだね

 

そうだよ。まだバカになったわけじゃないよ。ちゃんと全部覚えているんだ。バカのふりをすることはたまにあるからさ、気をつけな。

 

やられた。先に言われてしまった。こうなると、もし忘れていてもあとでふりをしていたなんて言えることになってしまいました。

 

 

横から話を聞いていた介護士さんが、渡辺さん、お母さんは以前より頭がさえてきたような気がしますよ。これは私の勝手な見方ですが

 

はい。確かにそうかもしれないと思っていました。

 

他の方より少なくてもあきらかに進行は遅い。

私はね、渡辺さんが毎日こうして15分程度でも、いらして話をするからだと感じています。

 

そうですか?ありがとうございます。

 

この15分はお母さんにとっては一日のうちの大切な時間なんです。これからも無理せずにがんばってください。

 

 

母が入所したのは去年の秋になります。

たぶん9月後半くらいの事でした。

 

ここの施設長さんに、見学に来た時に、実はここから徒歩数分のところに職場があるんです。

認知になった母にせめて親不孝だった恩返しがしたいんです。昼休みや、ちょっと時間の空いた時に顔を出せると思うんです。

調べたらここが一番近いグループホームなんです。

 

そうでしたか・・

 

9人待ちの母の順番は、緊急ということで1番に繰り上げられて翌月に入所できることになったのです。

 

渡辺さんは約束どうりに毎日いらしている。

大したものです。

 

なんか、入れてもらった以上約束を守りたくて・・・無理してるわけじゃないんです。

 

あの時の渡辺さんの言った事をほんとに守ってくれるとは思っていませんでした。でも、毎日でも来たいといったあなたの真剣な顔を忘れられなかったんです。

 

それが去年の秋のことでした。