弾揆指は多く見られる腱鞘の疾患である。そのうち指屈筋腱腱鞘炎は親指に多発しバネ指を呼ばれ、局部の疼痛や屈伸制限があり、無理に指を動かそうと延ばすと弾揆音がして中手指節関節掌側に圧痛と米粒大の結節がある。

橈骨茎状突起の腱鞘炎では橈骨茎状突起が痛み拳を握って外転すると、局部に疼痛が走り物をもったする力がなく、茎状突起に豆状の結節がありはっきりした圧痛がある。

本疾患は中医学では筋卑であり、疲労損傷が経筋に及んだり、寒湿が脈絡を侵したりして経脈の流れが滞り、気血がスムースに運行しなくなって気滞血おになったと考えている。

1950年代の後期には本疾患の鍼灸治療の報告は何編があり、刺針、灸、梅花針などが使われた。この20年は穴位刺激の方法が大きく進歩して、火針 穴位注射だけではなく、穴位マイクロウエェーブ照射や小刀針 など革新的な鍼灸治療で本疾患を治療して治療効果も絶えず向上している。

治療——————–

主穴:阿是穴
配穴:指屈筋腱腱鞘炎は、合谷と魚際 橈骨茎状突起腱鞘炎は陽渓と列決を加える
阿是穴の位置:もっともはっきりした圧痛点

治療方法——————–
隔薬灸 公丁香 肉桂を等量とり、粉にして均一にまぜて丁桂散を作る
生のショウガを洗って2ミリのスライスにして針で6-7カ所を刺す。

阿是穴灸 圧痛点に少量の丁桂散を均一にしてまき、そこにショウガ片を置いてピーナッツくらいのモグサをショウガの上にのせて灸をする。

患者が熱くて耐えられなくなれば、一度とり、そのうえにまた重ねる。続けて3-5壮を繰り返す。

無瘢痕灸 麦粒大のモグサを穴位に直接載せて線香で点火してモグサを燃やし患者が熱さを感じたら火をおし消してそのうえにまた新しいモグサを載せて、点火する。5壮くらい繰り返す。

配穴は毎回、1-2カ所以上取り、針をしてもよい。治療は隔日に一回行ない、10回を1クールとする。各クールは3日程度あける。

治療効果——————–
指屈腱腱鞘炎と橈骨茎状突起腱鞘炎の合計115例を治療し、治癒97例 著効14例 有効4例で有効率は100%