昼休みの母の施設に行くために、歩いていると、遠くに救急車が見えていました。

あれ?救急車だ。

ちょうど考えると母の入居施設の真ん前に停車して赤色灯を回しているじゃないですか・・

え?もしや・・・

去年の2月に最初の骨折をして救急車を呼び、その時の思いがよみがえります。

風邪でせき込んで呼吸困難になったのか?それとも誤飲?意識が飛んだ?まさか、あの足で立ち上がった?いやいや、それはない。風邪で大変になったのか?

そんなことを考えているうちに施設には20人近くがいるというのに、母だとばかり思いこんでしまい、北1条通というちょっと大きめの通りの信号も、赤で走ってわたってしまいました。

救急車を見ると中には隊員の姿はなく、うえで気道確保かなにかしているに違いありません。

そう思って靴もそろえず玄関を上がり、エレベーターが来ていなかったので、横にある非常階段を駆け上がって母の部屋に向かいました。

あれ?今日も来たんだね。

そういって、テレビを見ながら笑いこけている母がいて、一気に脱力です。

顔が赤いね。熱でもあるのかい?

いやいや、ちょっと走ったからさ、だからだよ。

そうなんだ。それならいいんだけど。

風邪はどう?

風邪?風邪なんてひいてないよ。

昨日は風邪ひいていたでしょ。熱もあったし

あ~。昨日は昨日、今日は今日。

そりゃそうだけど。

まあ、風邪っていわれりゃそんな気もするけど。いわれなきゃわからないっていう程度だよ。

そうか・・・少しいいってことだね。

後ろから介護士さんが部屋にやってきて、渡辺さん、今日は熱は平熱になったけど咳き込むので

もう少しかかりそうです。

お風呂はいれなくてかわいそうだけど、仕方ないね。

いやいや、はいらなくていい理由ができたからちょうどいい。

相変わらずの毒舌と、切り返しです。

なんでもないならよかったよ。完全に治るまでもう少し様子見しようね。

そう言って帰ってきました。

帰りにはもう救急車がいなくなっていました。

誰かがきっと運ばれたのでしょう。

無事を祈ります。