母は今日行くと、お風呂の準備をしているところでした。

これからお風呂なんですよ。

介護士さんがそういって着替えを出しています。

 

よかったね、今日はお風呂なんだね、気持ちいいよ。

 

いやいや、気持ちいいより、脱いだり着たりが面倒。このこの年になればさ、服を脱ぐこともおっくう、着る事もおっくう。

 

 

やる気になれば大丈夫だよ。

 

 

あんたもさ、この年になったらわかるよ。どれだけおっくうなのか。

 

その年まで生きられるかなぁ。

 

大丈夫。なにもなければ生きられる。あんたはストレスを感じない男だから大丈夫だ。

 

感じるよ、以外に繊細だと思うんだけど・・・

 

私はあんたをずっと見てきた。幼少期から大人になって仕事しているときもね、あんたはストレスを感じるような人じゃない。

 

うん、そうなのかもね。

 

昔、税務署が入ったときも、私はあわてて大変だったけど、あんたは私に言ったよね、金で解決するのなら安いものだ、命を取られるわけじゃない。ちょうど膿がでていい具合だと。

 

言ったね。

 

あんたは数百万くらいを支払って乗り切ったでしょ。

 

うん。そうだった。

 

お父さんよりメンタルは上だと思った。お父さんは運の強い人だったけど、あんたはそれに加えて気合がすごいと思ったもんだよ。

 

ありがとうよ、ほめてくれてるんだ

 

ほめてるわけじゃないけど、男は立ち向かってなんぼだからね・・・・

 

もう20年は前でしょうか、うちにも何度か税務署が立ち入り検査に来た事があります。

帳簿操作をしてたわけじゃありませんが、車関係の経費が認められなかったのです。往診日誌がないという理由でした。

 

税務署は、往診の日誌もないのに、車の関係費用を経費にはできませんよ。

 

往診の日誌をつけなきゃいけない規則もないのに、なぜ税務のためにつけないとならない?

 

そういう法律はありませんが、根拠が必要です。

 

その根拠を示せなかったのです。

結局5年分の車両関係費は経費で全額が認められず話し合いで半分を認めてもらえることになりました。

 

あの時あんたは、お金をどっかから借りてきて支払ってた。

 

そうだったね・・借りるのは大変だったんだけどね。

 

 

大物になると思ったよ。

 

ならなかったなぁ。ここらあたりで精一杯だね。

 

そろそろお風呂の時間ですよ~。

 

介護士さんが呼びにきました。