今日は母のところに待合室で古くなった雑誌をもっていきました。
週刊文春と、女性自身です。
母は週刊誌をよく読んでいて、毎日文字を読むのが好きな人でした。
芸能界のことも週刊誌などで詳しく知っていたものです。
本を持ってきたよ。読んでね、置いておくからね。
あ～ありがとうね。でもさ、もういいんだよ、持ってこなくて。
どうせ古くなって古雑誌に捨てる本だからさ。いいんだ、もってくるよ。
そうかい・・・なら持ってきて。
文字が読めなくなってきたかな？老眼鏡が必要かな。
いやいや、老眼鏡の問題じゃない。
なんの問題なんだろう？あんなに雑誌好きで読んでいたでしょ？
うん・・・でもね、もう世の中の事に興味が持てなくて、読んでもつまらない話ばかりで読む気が失せちゃって。
そういうことか・・・興味がわかない？
ね、私は９０歳を超えた老人だよ。
世の中を知ったからってなんになる？なにか興味を持てるとでも？なんにも興味が持てないよ。誰が事件を起こしたとか、だれが浮気をしたとか、そんなことはどうでもいい。この９０年間に腐るほどあったし見てきたよ。そんな事はどうでもいい。
なにが面白いのかな。
面白い事なんてなんにもない。自分の身の回りにも興味がもてない。
興味がもてることか・・・食べることかな？なにか食べたいものは？ないの？
ない。なにも食べたいと思わない。別に食べなくたっていい。
食事の楽しみもない、世の中にも興味がない。
実際に９０歳を過ぎた人ってそんなもんだろう。興味を持てることがあるのならそんな人を教えてほしい。
難しいものです。興味を持つもの、もてるもの。９０歳の興味が持てるものってなんでしょう？
僕もいろいろ考えてみましたがもはやなにも出てきません。
味もわからなくなってきて、おいしいのかおいしくないのかもわからない。文字も読めないし、読んだところで頭での理解はできない。だから小説も読めない。
一日太陽が出て、朝ごはんを食べて、あんたが顔を出して、昼ご飯。そうしていつの間にか夜ご飯で、数時間で寝る。
これだけの人生だよ。
僕が顔を出すことがちゃんと入ってるんだ。
そうだね。・・・そこが一番の楽しみかな・・・
そういうと、ニヤリと笑って、目をつぶっていました。