母が時計が動かないと言います。
見ると腕時計を僕にみせてこれが動かないのはなんでかわかる?というのです。
うん。この時計は実は動かし方があるんだよ。
え?どうやって?
話しは15年ほど前にさかのぼります。
この腕時計は、母が75歳くらいの時に父が誕生日だったと思いますがプレゼントしたものです。
父が4つ下ですので、71歳の頃でした。
お父さん、時計をプレゼントしたの?時計なんか確かあったと思ったけど。
ん?あ~。あの時計はさ、電子時計で太陽光で動くんだよ。しかも、時間を直さなくても電波時計で自動的に合うようになってるのさ。
へー。電波時計なんだ。なんでそんな時計を?
あいつはメカ音痴だろ?ビデオも入れられないし、BSだって見れないんだよ。ボタン押すだけなのに。
今は時計を合わせたりもできるけど、いつかきっと時計も合わせられなくなるし、手巻きなら自分で手で毎日まかないといけないけどそれはできないだろ?
うん。
自動巻きも寝たきりになると手を振る事もできないし、電池式だともって5年とからしいんだ。
そうだろうね。5年たったら時計屋にもっていかないとね。
で、太陽光電池がないかなと思ってた
そうしたらあったんだよ。
そうなの?
そう。しかも時計を合わせる必要もない時計で。
そう言う事か。将来の事を心配して買ったわけか。
認知症になって時計を合わせることもきっとできなくなる。その時に重宝するはずだ。
そうだね。
父の15年前の予想は見事に的中したわけです。
今の母はもう時計を合わせることも、手巻きで巻くこともできません。
太陽光じゃなても僕がいれば電池を替えに持っていくことくらいはできたかもしれませんが、父の予想はことごとく当たったわけです。
太陽光だから、太陽にあてないとダメなんだ。冬場の太陽でもいいらしいけど、できれば昼は1時間くらい窓のカーテンを開けて太陽をいれていれば大丈夫。それができなくなった時は動かなくなる時だな。
うん。そうだね。
長袖のパジャマに時計は隠れていて、太陽にあたった様子もなく時計は止まっていました。
これはさ、一度外して太陽にあてようか。そうすると動くと思うから
太陽??なんで太陽が関係あるの?
そう言う時計なんだよ。親父が残した思いやりの時計さ。
そういうと、母はだまって聞いていました
