父は生前ですが、味覚というか食べ物に関しては少し変わっていました。

好きなものしか食べないという超偏食で、そのすきなものなら朝から晩まで食べ続けていました。

 

父の大好物はエビとカニです。

僕は今は食べられますが、40歳代くらいまでは大嫌いでした。

理由は父がエビとカニが大好きだったからです。

 

子供のころから、見慣れてはいましたが、お休みの日曜の朝から日本酒を一升を置き、エビを一日中食べ続けるという異常な食生活を送っていました。

 

日本酒も有名な高い日本酒を酒屋さんに注文して、届けてもらっていました。

当時日曜には朝には時事放談があり、それを見た後は政治系の番組をずっと見続けて昼からは、競馬中堅を夢中になってみていました。

 

土曜に札幌にある有名な二条市場に行き、エビとカニをびっくりするような量を買いに行き、そのエビカニを心ゆくまで食べ続けるのが、おそらくは父のたった一つの楽しみだったのだろうと思います。

 

そのためにだと思いますが、40歳代から腎臓を悪くして尿閉になり入院したこともありましたし、糖尿病はかなり悪化していました。

糖尿は70歳代になってインシュリンを使い始めましたが、それまでは血糖値が異常値でも使いませんでした。

 

50歳前後の父と、当時20歳代の僕は何度も喧嘩になり、2年も3年も実家に帰らなかった時代もあるくらいです。

 

おそらく30歳代あたりでも1年に帰るのは正月に3時間くらい顔を見て帰るくらいで宿泊したこともありません。

そのくらい父とは仲が悪かったのです。

 

父は、理系体質でしたが、食生活はまるでダメで欲望の限りを尽くすというタイプでした。

計算したらカロリーや、塩分やたんぱく質がどのくらい異常にとられているかわかったはずなのです。

あれだけ、頭のいい人だったのに、理解できないのです。

人間というのは、自分のことになると計算不能になるのでしょうか?

それとも欲望が勝ってしまい、そのまま突っ走るのでしょうか?

 

糖尿になってからはさらに、食に関しては貪欲になり、余計にひどくなっていきました。

健康のために野菜を取るように言おうものなら、茶碗やコップが飛んできました。

当たって頭から血を流したことも一度や二度ではありませんでした。

 

そんな父でした。