今日の母はクリアな状態でした。
認知症は、クリアな日とそうじゃない日がありますが、今日は目つきもはっきりしています。

今日は眠くないの?

昼間だもの、眠くはないよ。昨日はいっぱい寝たしね。


そうかそうか、昨日はお風呂にはいったんだったね、どうだった?

お風呂はいいんだけどね。まあ、共同生活だから仕方ないのかもしれないけど、人の入ったお湯に入らないといけないのがどうも嫌だね。

人が入ったお湯か・・・

そうだよ、一番風呂ならそりゃいいかもしれないけど、呼ばれるまで順番はわからないし、5番目ならその前に4人が入ったお湯ってことだよ。銭湯ならいいとしても家庭用に毛が生えたようなお風呂でさ。他人が入ったお湯につからないといけないのが、どうも私は嫌でさ。

うん。確かにそうだね。でも、仕方ないか・・・なるべく気になるようなら一番に入れてもらうように頼んであげようか?


あんたがそんなことを言ったらきっとわかりましたとは言うけど、そんな都合よくはいかないよ。いろいろな都合もあるだろうさ。

どんな?

体が大きい人は介護士さんも力の強い人がいる時間じゃないとダメだったりさ。

なるほど。それはあるのかもしれないな。

母の言うとうり、ここで一番風呂にしてくれ!なんていうのは家族の我儘と映るでしょうし、大人の対応をしてくれてわかりましたとは言ってくれるかもしれません。

でも、我儘だなと映ると思うわけです。

あんたもいつかわかるだろうけど、年寄になって、一番大事な事はなにかわかるかい?

うーん。なんだろう。

鈍感さだよ、昔は鈍感力って本があったはずだ。

うん、あったあった。

共同生活で、敏感だったり過敏だったりしていたら生活なんてできない。夜中に唸り声は聞こえるし、人の入ったお湯や、うんこのついただろうトイレも使わないわけにはいかない。

うん。

鈍感で気にしない人であれば気にならないけど、敏感で気になる人だったらいられないはずだよ。

その通りだね。

もっと認知にでもなればさ、人の入ったお湯なんて気にもしないのかもしれないけど、まだ中途半端なんだな。認知さが。

そうきたか・・でも言ってる事はわかるし適切だと思う。

鈍感力が欲しいよ。もっとさ。

母はいつになく饒舌でしかも僕の中にはない視点でしたので目から鱗だったのです。