うちももう30年以上もやっているので、当時高齢の方もいらっしゃっていまして、その方はもうなくなられている方が大勢いるわけです。


一人一人の患者さんを思い出しながら、たまに話した事や、会話で指導していただいたことなど思い出しています。
昔、ラジオを聴いていて、そのラジオのパーソナリティが、人は二度死ぬ。一度目は命を絶たれた時に死に、もう一回はその人を覚えている人がいなくなった時なんだと言っていました。

それは少しでも寿命を延ばしていたいと思い始め、夜寝るときとか、布団にはいってなかなか寝付けない時は、一人一人を思い出します。

カルテ番号はもう5000を超えましたので、5000人は少なくても来院されているわけです。
わかる方は1000人~2000人くらいでしょうか?
名前を聞いてもすぐには思い出しにくかったり、なかなか思い出せなかったり。

やはり30年前に最初に開業した頃の方が一番よく覚えてはいます。


前にも書いてますが80歳近くなるおばあちゃんと、20歳代の僕が早朝5時に地下鉄円山公園駅で待ち合わせして山寺にいって湧き水をとってきたこと。

その湧き水をつけると膝の痛みが治ったという人がいて、その話が本当なのかどうか、おばあちゃんは自分の膝にもつけてみたいと思ったのです。僕も何とか治してあげれないかなと思っていました。


早朝5時の山寺は誰もそこにいない静寂の山の中にあり、その一番奥に湧き水があったのです。

水を水筒に入れて、おばあちゃんとこれで私の膝もよくなるかなと言ったと思ったら、すぐ後ろから
放し飼いの犬が二匹、走ってきて吠えながら威嚇してきます。

わぁ~!おばあちゃん!犬が襲ってきたよ、早く走って車に行こう!!

そういうと、おばあちゃんは膝の痛いのも吹き飛んだように、僕より早い超スピードで車までの数百メートルを走り、僕も息を切らしながら車に乗り込み、犬がギリギリまで走りこんできてなんとかかまれずに
乗り込むことができたのです。

おばあちゃん!足痛くないんじゃない??と聞くと、ほんとうだ!水つけなくても治ったみたいだ!と
二人で大笑いしたんです。

あの頃で80歳くらいだとすると、今は110歳でしょうか?

もうこの世にはいなくなっているでしょう。

そんな思い出話を思い返しながら、眠りにつくのです。