坐骨神経痛は坐骨神経の通路及び、その分布範囲かが痛むものである。焼け付くようなあるいは針で刺すような痛みが臀部から大腿後面や脛の後ろ外側面に向けて放散し坐骨神経にそって明確な圧痛点がありブラガードテストが陽性となってアキレス腱反射にも異常が起こる。

坐骨神経痛はいろいろな原因で起こるが損傷部分によって、根性(神経根)幹性(梨状筋症候群など)に分かられる。

坐骨神経痛に対する鍼灸の効果は確実である。50年代初めから現在まで中国には豊富な臨床資料が蓄積されている。80年代の統計を調べたところ体鍼 灸 電気針 穴位埋線 高周波パルス治療 穴位注射などをつかった治療があり、全部で1471例の治療をして有効率97、5%そのうち57、1%は治癒していた。

この十数年で鍼灸のバリエーションも増えた。たとえばマイクロウェーブの治療器を使ったりレーザー、熱鍼、頭鍼などがある。

鍼灸の坐骨神経に対する鎮痛メカニズムの研究については以前はあまり重視されていなかった。刺鍼後に患者の末梢血液中に5-HT(ヒドロキシトリプタミン:セロトニン)cAMP(アデノシン環状リン酸)cGMP(グアノシン3-5環状セロトニン) PGE2プロスタグランジンE2 などの炎症物質の数値が変化していることが最近発見されていて、その鎮痛作用に生理的な裏付けのあることがわかった。

治療——————–
主穴:環跳 陽陵泉 環中上
配穴:委中 腎愈 八りょう 崑崙 慇門 丘墟
環中上の位置
下肢を半屈して尾骨先端と大転子最高点を結ぶ線上2寸で外上方0、5寸

治療方法——————–
主穴は必ずとり、配穴は症状によって臨機応変にとる。たとえば根性の坐骨神経痛では腎愈や八りょうなどの神経根部は必ずとり、幹性の坐骨神経痛では神経幹の通ってる下肢の穴位をとる。

両方併用すると効果は高いがほとんどが神経根性であることが多い。環跳穴は3寸の鍼で深鍼し、大きく捻転し鍼感を足底や足背に伝わせる。

環中上穴は3~5寸深鍼し、得気すれば動かし運鍼する。その後置鍼する。
置鍼時間は20分~60分と一定ではないが、病状がひどいほうが長く置鍼する。

ひどいものだと2時間置鍼することもあるが、日本ではあまりされない。置鍼中は、痛みがひどいものは数分毎に運鍼する。一般的に毎日か、隔日に治療し重症ならば一日に二回治療することもある。

治療効果——————–
649例を治療した結果有効率88、75%~97、5%だった。
平均治療回数は10回腰部は気海愈 大腸愈 関元愈を加え、2、5寸~3寸鍼を直刺して20分以置鍼する。
重症ほど太い鍼がよい。

●電気針——————–
主穴:坐骨神経投影点 環跳 腰4~5の挟脊穴 ちっ辺 腰陽関
配穴:幹性では陽陵泉 条山(条口から承山の透刺) 根性では委中 承扶 条山 足三里
坐骨神経投影点 :上後腸骨棘と尾骨先端をつないだ中点から大転子までをつなぐ線の下三分の一梨状筋の下孔にあたる。

治療方法——————–
坐骨神経痛のタイプの違いによって取穴する。幹性では坐骨神経投影点か環跳 根性では腰4~4の挟脊穴かちっ辺をとる。それぞれ配穴から2~3穴を加える。

腰陽関はいずれにも使い、足三里も併用する。坐骨神経投影点は3寸の長い鍼を使って70度角でやや内側に向けて刺入する。パルス波は連続波で15分間通電する。鍼の後にお灸をしてもよい。

治療効果——————–
治癒:腰を屈伸した後にも正常に伸びプラガードテストも健側と同じである。坐骨神経に沿った痛みは消失している。

著効:腰を屈伸したあとも伸びは正常に近くなり坐骨神経に沿った痛みも軽くなっている

有効:腰を屈伸した後の伸びはまだ伸びにくく、坐骨神経に沿った痛みは残ってるが軽くはなっている

無効:治療前後で効果は変化はない

636例を治療し、有効率は94%

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