今年最後の夜間診療です。
午前はいつもの母のところに。
ちょうど歯科医の先生が見えていて、歯の定期受診になりました。
歯の先生がきたから診てもらおうね。というと、なにも歯なんか痛くない、診てもらわなくて結構だといいます。
いやいや、ダメダメ、歯磨きとクリーニングしてもらうんだよ。だからさ、虫歯の治療じゃないんだ。痛くはないんだよ。
えー。そうかい・・・・わかったよ。
歯は痛くなければ歯医者の必要はないと思ってる高齢者の方は多いと思います。
これは間違いなんです。
痛みは悪くなって最終的なサインです。
その前にいろいろな事が口の中では発生しています。
歯が腐食したり、エナメル質がどんどん減ってきたり。
そんな状態をみて適切な治療や適切な指導をしてもらわないと、ばい菌は奥にはいりこみ、歯周病から歯肉炎、そうして歯槽膿漏と進みます。
最後は認知症。
母の通った道がまさにこれでしょう。
口腔内ケアがもっと早くに、もっと適切にできていたなら、認知にもならなかったのかもしれません。
終わってから母がいいます。
あんたさ、私の住んでいた家をどうした?
家??新琴似の?
うん、そうだよ。私の名義だったはずだよ。それをどうした??
いや、もう5年くらい前に売却したでしょ。一緒に売る手続きして売却したじゃん。
いやいや、そんなことするわけない。住んでいた家をうったら私はどこに帰ればいいの?
ここは、ずっと住める場所だよ。だからそんな心配はいらないんだよ。
ここは施設でしょ?施設は家じゃないんだよ。家はどこなの?
ここの施設が家みたいなものだよ。ここにずっと居れるんだよ
ずっといれたって、こんなところに長居はできないよ。早く退院して家に帰りたいよ。
今は、住所は僕の家になってるよ。だから帰るとしたら僕の家になるかな。
それはあんたの家でしょ?私の家は??
ずっとこの繰り返しです。久しぶりにこんな堂々巡りになりました。
以前は数か月に一度はあったのですが、ここのところはおとなしかったのがまた始まったという
感じです。
私の家はどこなの?私はどこに住んでいるの?
私はどこに帰ればいいの?
母は必至の形相ですが、どうにもなんて言葉をかけていいのかわかりません。
少し落ち着こう。温かいお茶でも飲も。
そうやっていうのが精いっぱいでした。