今日の母は認知の症状が出ている状態でした。母はいわゆるまだらボケと言われるいい日もあれば悪い日もあるという状態です。
ですので、極端にいい日悪い日も存在します。

今日は僕の顔をみて、あら、注文は?といいます。

注文?

そうだよ、食堂にきて注文もしないってさ。ダメだよ。

そっかそか。でもさっき食べたから。

食べた?食べたのにまた来たの?

うん。そうそう。

でもちょうどよかった。今日はもう帰るから帰り仕度するから連れて帰って。

あ、今日はこれから仕事でさ。

え?仕事?ここで何時間も待ってたんだよ。もう待ちくたびれたよ。

そうか・・ごめんね・・・

だから早く帰りたいんだ。もうここにいたくない。

うん・・・・

母の悲しそうな懇願する顔を見ると、どう帰っていいのか、どうここを切り抜けるといいのか考えても考えても母の気持ちを考えてしまうのです。

早く帰ったらカレーでも作ってあげるよ。カレーなら私でもできる。それ以外はちょっと無理だけど。

母はカレーがというか、カレーしか作れなかったに近い感じでした。
台所仕事が大嫌いで、料理をすることが苦手でした。
僕の幼少期はスーパーの総菜で育ったといってもいいくらいです。
でも、カレーだけは不思議と上手だったのです。
僕がおいしいおいしいというので、母はカレーだけはいろいろなところに食べに行って研究してたらしく、毎回入れるものを変えてみたりしていたのです。
定番のチキンだったりポークだったり、海鮮だったり。
隠し味にチョコをいれたり、コーヒーを入れたりと研究をしていました。

できることならもう一度母の手作りカレーを食べてみたいものです。

最近カレー作ってないなぁ。うまく作れるかな。

大丈夫だよ。自転車も一度乗るとずっと乗れるものだろ?カレーもきっと同じだよ。自転車と。

そう言うと母はニコニコしだしました。

そろそろ仕事に行ってくるからね。

あれ?私は?

ここで少し待てる?仕事が終わればまた来るから。

わかった。

そう言って、施設を出ました。

こんな時に皆さんはどういうのでしょう?
どうやってかえってくるのでしょう?

外で傘をさして歩きながら、ずっと考えていました。